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国家資格について
国家資格とは、国や地方自治体、これらに指定された団体などが試験を行い、認定された資格の事を言います。
- 国 (司法試験、医師国家試験etc)
- 地方自治体 (歯科技工士、看護師試験etc)
- 指定団体 (土木管理技師、中小企業診断士試験etc)
国家資格は、法律に基づいて試験を行い認定される試験です。
例えば、中小企業診断士は、「中小企業支援法」第11、12条に基づき、経済産業大臣が登録をします。
国家資格は、法律によって定められた制度で資格が認定されるので、資格取得者は高い社会的評価を得ることができるのが特徴です。
国家資格の強さは高い社会的評価だけではなく、「業務の独占権」と「就職の安定」にあります。
資格取得者でなければ業務ができない職種において、有資格者は独占して業務が行えます。医師、弁護士などが当てはまり、身近な仕事であれば、教員や大型自動車免許なども独占的資格となります。
また、業種によって有資格者がいなければその業務を行えないものもあります。
測量業をする上で、社内に測量士が1名以上いなければ測量業者として登録ができません。よって、有資格者は就職の優先権を得ることができます。
国家資格というと難易度の高いイメージがありますが、指定を受けた学校で単位を取得することで免許を得ることができる資格もあります。「教員免許」や「保育士資格」などが当てはまります。
また、受講をすることによって得る資格もあります。司書は、受講資格をクリアした人が講習を実施している大学に必要書類を添えて受講申込書を提出し、受講をし単位を取得します。
人気の高い情報系の資格にも、国家資格は多くあります。これらの試験は独立行政法人情報処理推進機構情報処理技術者試験センターが実施しています。
業務の独占権や有資格者が必須である業種はありませんが、情報系の職種は将来有望であり、今後多くの有資格者の活躍が期待されるでしょう。
公的資格について
公的資格とは、財団法人や社団法人、商工会議所などが試験を行い、文部科学省や経済産業省が認定する資格をいいます。
国家資格と同様、社会的な信用は高いですが、資格保有者が独占的な業務を行うような強みはありません。
公的資格の定義は先述した通りですが、資格の紹介サイトや書籍によっては、商工会議所が主催するもの全てを、「公的資格」と分類している場合もあります。
当サイトでは定義に添って、商工会議所で検定を行い、かつ、国の省庁に認定されているものを「公的資格」として分類しています。
簿記においても、日本商工会議所が主催する簿記検定は「民間資格」に分類し、(社)全国経理学校協会が実施する簿記能力検定は文部科学省認定の検定試験であるため、「公的資格」と分類しております。
ですが、これはあくまで分類上の問題であり優劣をつけるものではありません。
日商簿記の社会的評価は非常に高く、採用条件に「日商簿記○級以上」となっている企業も多数あることも、ここで付け加えておきます。
資格を種類で判断すると、資格の中でも優劣があるように感じられるかもしれませんが、決してその様なことはありません。
民間資格でも述べますが、資格によっては非常に評価の高いものも多く、業務の独占権を持つ資格が多く属している国家資格を除けば、公的資格、民間資格には格差はないように思われます。
実際に、同種類の資格であっても、社会に浸透しているのは、民間資格のほうだったということも多々あるようです。
介護保険法によって規定されている「介護支援専門員(ケアマネージャー)」は、省庁によって認定されている資格ではなく、各都道府県知事によって認定されています。
この場合は公的な要素を十分に含んでいるので公的資格と解釈しても良いと考えられます。
また、食品を扱う営業所において、営業許可証と共に必要な資格に、「食品衛生責任者」があります。
この資格も公的資格と分類され、各都道府県・政令指定都市などで実施している講習を受講し、終了後に食品衛生責任者手帳が渡されます。
また、非常に歴史のある資格の一つに「実用英語技能検定」があります。
通称「英検」と呼ばれ、誰もが耳にしたことのある検定試験で、実績と高い評価を持ち合わせる資格の一つです。
現在でも、就職にはもちろんのこと、入試にも深く関わっています。語学の資格の中では、「実用フランス語技能検定試験」や「スペイン語技能検定」も公的資格に含まれます。
スペイン語は、英語と同様、国際語として活用される場が多く、高い語学力を有する人材が求められています。この先、非常に注目される語学となるでしょう。
以上のように公的資格には、歴史のある資格が多く存在しています。
ですが、社会の流れに沿って、福祉関連などの法律の規制や成立、改正に伴って、新しく加わった資格もあります。
法律の規制のない民間資格とは異なる点は、法律の規制を受けるか否かという点ではないでしょうか。
分類上、国家資格、公的資格、民間資格と分けましたが、法律によって認定されるという国家資格の要素を含むということでは、社会的信用は高くなるでしょう。
民間資格について
民間資格とは、団体や企業が試験を行って認定する資格をいいます。
国家資格と異なり法律の規定などがないので、企業や団体が社会のニーズに即座に対応できるなどの強みがあります。
民間資格は歴史のある資格から新しい資格まで様々あり、文化的な資格も非常に多くあります。例えば、「華道」「書道」「茶道」なども民間資格に分類されています。
民間資格は、非常に身近に感じることができる資格です。
また、現代社会の中で、このような人材が求められていると企業や団体が感じ、受講や検定試験などを実施し、人材の育成に取り組んでいます。
ペット関連やウェディング関連、医療や福祉関連などへの資格取得希望者が増えてきたのも、これらの業界がより専門性の高い人材を求めているからです。
このように、民間資格は社会情勢を反映している資格と言って良いでしょう。
ただし、これらの民間資格は、企業や団体が独自で試験・認定を行うため、社会的認知度や信用度に大きな格差があるのも事実です。
「マイクロソフトオフィススペシャリスト」や「マイクロソフトオフィシャルトレーナー」などは、民間資格ではありますが、有資格者は社会的に非常に高い評価を受けています。
それは、マイクロソフト社という企業が世界的に非常に大きなシェアを保有しているため、専門的知識と技術を持つ人材が求められているからです。
英語能力を評価する試験に「TOEIC」があります。これも民間資格ではありますが、世界で約60カ国で実施されており、外資系や貿易関係の就職においては、採用条件にTOEICのスコアが基準になります。
女性に人気の高い「インテリアコーディネーター」も民間資格ではありますが、就職・転職時に有資格者が優遇されたり、独立してフリーで働くことが可能となります。これも、社会のニーズに対応できる専門職であるからでしょう。
民間資格は、同業の団体や企業が独自に検定を実施するので、同じような名前の資格がいくつもあり、どれを選んだらいいのかわからないといった場合があります。
受験前に実施している団体や企業が、社会的にどのように認知されているかよく調べた方が良いでしょう。
団体や企業自体が社会的認知度・信用度が高ければ、それらが認定した資格も広く受け入れられる事でしょう。
また、法律で規制していない資格なので、悪質な資格商法も発生しやすくなっています。
「今は民間資格だが、数年後には国家資格になる」
など根拠のない勧誘などには、注意が必要です。
多額の授業料を払ったのに、いつのまにか認定証を発行した団体や企業がなくなっていて、紙切れ同然になったりしないよう良く調べてから受講するようにしましょう。